わずか1800円で買える中華HDMIキャプチャユニットRULLZ Video Capture with Loop レビュー XBJ-450
Aliexpressで見かける怪しいHDMIキャプチャユニットの中でも安い部類であるRULLZのキャプチャユニットを購入しました。
3つのバージョン
この製品には機能に応じて3つのバージョンがあり、価格もそれぞれ異なります。
1つ目はキャプチャ機能のみを持ったもの。USBドングル型で入力用のHDMIのみを備えています。10ドルほど。
2つ目はパススルー機能を持ったもの。入力と同じ信号を出力するHDMIポートが加えられています。その分筐体は大きくなり、PCにはUSBケーブルを通じて接続する仕様となっています。15ドルほど。
3つ目は2つ目に加えてオーディオ出入力機能を備えたもの。マイク入力とスピーカー出力用に2つの3.5mmオーディオミニ端子が用意されています。筐体サイズは2つ目と同じように見えます。20ドルほど。
仕様書を見る限り、どのバージョンでもキャプチャ機能の性能自体は同じと推測されます。音声出入力に関しては、ノイズやラグに対する挙動に懸念があったので今回は2つ目のタイプを購入しました。
付属品
例の如くAliexpressで購入して3週間ほどで到着。箱などはなく、簡単な梱包のみでした。付属品はPC接続用のUSBケーブル(2.0 タイプA オス-オス)と給電用のmicroUSBケーブル、説明書でした。説明書は中国語と英語で表記されていました。
製品仕様
最大キャプチャ解像度:1080p30fps
この手の製品では、高画質の入力を謳いながら実際のキャプチャの品質は劣悪というものも多いのですが、RULLZはしっかりFull HDキャプチャに対応しています。
720p以下だと60fpsでキャプチャできるようです。
最大入出力解像度:4K30fps
HDMIの入力とパススルー出力の仕様。1080p60fpsのパススルーには対応していることを確認しました。
入力カラーフォーマット:8/10/12bit
キャプチャビデオフォーマット:YUV、JPEG
オーディオ:L-PCM
映像周りに関する仕様はこの辺りが明らかにされています。ショップの説明と届いた説明書とで仕様が一致していたのでそこそこ信頼できる情報だと思われます。
セットアップ
ドライバのインストールなどは特に必要ないです。USBでPCと接続したら「USB Video」「USB Digital Audio」というデバイスとして認識されます。
OBSをインストールして、この2つをソースに指定すればすぐに録画が行えます。
HDMIに何も入力していない状態だとテストパターンが表示されます
ちなみに、キャプチャユニットはRyzen系のCPUとの相性が悪い事があるそうですが、私の環境では特に問題なく使用できています。念のためスペック概要を記しておきます。
- CPU Ryzen 7 3700X
- GPU Geforce GTX1080
- RAM 8GB×4
- SSD 256GB NVMe
- HDD 2TB SATA3
- モニター Full HD×3
1800円としては驚きの性能
試しにNintendo Switchの映像をキャプチャしてみたのですが、本当に1080p 30fpsでの収録が可能でした。大きな動きもブレず、駒落ちなども見られません。他のキャプチャボードを所持していないので比較はできませんが、1800円とは信じられない性能と言えるでしょう。
とはいえ、動画の品質は安さなりと言ったところで、明瞭感は薄れ、色味は視認できるレベルで落ち、フリンジのような滲みが見られます。体感での解像度は720p程度という感想。YouTubeにあげたものはそれよりも劣化してしまっているように見えます。
こう言ったノイズが乗るということから、内部でアナログ信号に変換しており、画質も劣化していると考えられます。とはいえ同系列の製品ではアスペクト比もおかしく、フレームレートも見るに堪えない…というものが多いと聞くのでそれらに比べるとはるかに良く感じます。個人的には、配信や動画サイトに投稿するなら圧縮である程度画質は落ちるのでこのくらいは全然許容できるかなという感想です。用途によってはかなりシビアなところもあると思いますが。
音声については駄耳なのであまり言及しませんが、そんなに劣化はしていないように感じます。
レイテンシについて
キャプチャなので当然ラグはあります。一般的なキャプチャデバイスにどの程度のラグがあるのかが分かりませんが、参考として計測しました。OBS以外のソフトを使用したら結果は変わるかもしれません。
この画像は、右の画面に表示した30fpsでフレームをカウントするプログラムを、RULLZ経由と画面キャプチャでそれぞれOBSにキャプチャし、スクリーンショットを撮影したものです。
RULLZでキャプチャすると5フレーム(0.167s)、画面キャプチャだと1フレーム(0.033s)遅延している事がわかります。両者に同等の内部処理がなされていると仮定すると、RULLZを原因とする遅延は4フレーム(0.133s)であると推測できます。
これがキャプチャデバイスとして遅い部類なのか早い部類なのかはわかりませんが、少なくともキャプチャしたものを見てゲームをプレイするといった使い方は難しい数値です。
ウェブカメラの代わりとしても使える
HDMI出力機能を持ったデジタルカメラやビデオカメラにつなげれば、ウェブカメラの代わりとして使うこともできます。ZoomとDiscordでテストパターンを表示することができました。安めのウェブカメラを買うよりも、RULLZを通じて手持ちのカメラをウェブカメラ化した方が費用対効果は高いかもしれません。
とりあえず持っておくのにはちょうどいい
本格的な動画投稿や配信には動画の品質が物足りないように感じますが、簡単な用途には絶大なコスパを発揮する製品だと思います。ブログを書いていると、「キャプチャボードがあればな〜」という場面が結構あるのですが滅多に使わないものに数千円をかけるのも勿体なく、これまで手を出すのが億劫でした。そうした方には格安なRULLZはピッタリだと言えます。とりあえずの1台として購入してみてはいかがでしょうか。
国内の店舗でXBJ-450といった品番として売られているものと同じOEM品だと思われます。値段もAliexpressより数百円高い程度なので、急ぎの方はそちらを購入するのも選択肢です。