超小型ライフログカメラInsta360 Goレビュー
Insta360 Goのハローキティコラボモデルを提供していただきました。Insta360はかねてより当ブログで紹介している通り、高機能な一般向け360度カメラをリリースしています。その最大の特徴は、Flowstateと名づけられた強力なソフトウェアスタビライズ機能により、手振れが軽減された滑らかな映像が撮影できる点です。例え本体を振り回しても違和感のない映像が撮影できます。その機能を非360度カメラに採用したのがこのInsta360 Goと言えます。
外観
外箱は、上面にキティーちゃんが大きく印刷されているのみで他は通常版と同じようです。
カメラ本体は非常に小さく、親指ほどの大きさです。筐体の表面にはキティちゃんが印刷されています。
スマホのカメラより少し大きいくらいのレンズが備わっていますが、ONE Xほどの出目金ではないので扱いに気を配る必要は少なそうです。
裏には充電・転送用の電子接点があります。スマートウォッチやTWSで良く見られるものと同じですね。その下にある黒い部分はアクションボタンで、このボタンひとつで動作を制御することになります。イメージ画像では表面のキティちゃんの部分に指を添えているものが多かったので、てっきりタッチセンサーが備わっているのかと思っていましたが、ボタンはこの一つのようです。表からマウントなどに押し当てることで裏のボタンを押し込んで制御しているみたいです。
付属品について
通常版に触れたことがないので分かりませんが、基本的に付属品の構成はキティコラボも通常版も同じはずです。ただ、付属品の殆どがキティちゃんをイメージした薄ピンク色に統一されています。ひとつひとつ紹介していきます。
充電ケース
本体への充電や撮影したファイルの転送を行うためのケースです。本体には裏面の電子接点以外に端子が備わっていないので、このケースを通すほかに充電や転送を行う方法はありません。TWSをイメージしていただけばわかりやすいのですが、このケース自体にもバッテリーが備わっており、本体を格納するたびに充電が行われるようになっています。
裏側にはケースのバッテリー残量を表示するボタンとランプが備わっています。
下部についているLightning端子を通してiPhoneに撮影データを転送できます。給電はできません。正直ラバー製のキャップが微妙なのと、iPhoneをケースに入れていると接続できないのが残念ですね。下のようなアダプタを使うといいかもしれません。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0861MK4F8/
側面にはmicroUSB端子があります。充電や、Android端末・PCとの通信はここにケーブルを接続して行います。
このケースに関して残念な点をもう1つ挙げると蓋の開閉が困難です。かなり強めに爪が噛んでおり、AirPodsのケースのようにさっとアクセスすることができません。本体とケースはまあまあ強めの磁石で吸着しているので、場合によっては蓋を外した状態で持ち歩いた方が便利かもしれません。
磁気ストラップ
Insta360 Goの最大の特徴と言えるのはこの磁気ストラップでしょう。磁石で吸着することでInsta360 Goをペンダントのように首から下げることを可能にします。
服の中にストラップを下げ、外から本体を吸着すれば違和感もなくなり安定性も増します。本体の重さが18グラムということもあり、首から下げてもほとんどストレスを感じません。
これまで、一人称視点の映像は手持ちでとるか、頭の上やおでこにアクションカメラを固定するしかありませんでした。頭への固定は首がつかれますし、画角の調整が難しかったり首を動かすと視点も変わってしまったりと表現方法によっては難しいものがありました。磁石で服を挟んで吸着する、という方法は新たな表現の手段として優れた選択肢なのではのでしょうか。徹底して軽さを追求したInsta360 Goの為せる業です。
簡易クリップ
衣服の淵やカバンのベルトといったところに固定できるマウントです。こちらも磁石の吸着によって固定します。ラバー製のクリップバンドは摩擦力を高めるために使用するものと思われます。
マウントアダプタ
いわゆるGoProマウントにアクセスすることを可能にするアダプタです。これにより、アクションカメラ用に開発された数多のアダプタを利用することができます。こちらは磁石ではなく、周囲を囲うことで固定しています。
ピポットスタンド
ピポットスタンドは、1/4インチのネジ穴を備えたマウントです。磁石で本体に吸着します。カメラ用の三脚など、多くの製品に固定が可能になります。
ピポットスタンドベース
1/4インチネジを備えた吸盤のようなものです。なめらかな平面に吸着します。ガラスなどに固定が可能になると思います。かなり強力に吸着するので、素材によっては中が必要だと思われます。
簡易グリップ
GoProマウントを備えた非常に小さな手持ちグリップです。持ち歩きに優れたサイズ感で重さ18gのInsta360 Goを支えるには十分です。
その他、説明書などのドキュメント類や汎用のケーブル類、ロゴステッカーが付属しています。
撮影について
撮影はケースから取り出した状態で行えます。撮影の方法は2つ、本体のボタンで操作するか、スマホと接続して操作するかです。
本体のボタンで操作する場合、箱を開けて最初に目に入るこちらの表示に従えば撮影が行えます。TWSを使用している方なら曲飛ばしや音量の変更などでボタンのジェスチャー使うと思うのですが、そのイメージに近いです。最初は戸惑いましたが、慣れると案外しっくりくるもんです。
スマホと無線接続した際にはより多くの機能を使うことができます。これについては後述します。ここで注意が必要なのですが、Insta360 Goにはライブビュー機能がありません。本体に画面がないのはもちろんですが、スマホを通しても画角を確認することはできません。本体の小ささゆえ仕方ないのですが、ONE Xの高解像度且つスムーズなライブビューには感動したので少々残念です。
撮影モード
本体のみで行える撮影モード
本体のボタンの操作で行えるのは限られた撮影モードです。ほとんどのシーンはここにあるモードを使用することになると思いますが、より詳細なパラメーターを設定して撮影する場合にはスマホと接続する必要があります。
クイックキャプチャ(30秒)
電源オフで1回押しすることで実行します。これがめちゃくちゃ便利で、目の前で何が起こっても瞬時に撮影できます。常に胸元にカメラを構えておき、すぐに動画を撮影。まさにライフログカメラの象徴といったところです。
写真撮影
待機状態からの1回押しで実行。こちらも、瞬時に目の前の景色を切り取ることのできる機能です。
ハイパーラプス(30分)
待機状態からの2回押しで実行。この機能もライフログならではというか、面白い映像ができます。これまでタイムラプスは、忍耐の撮影でした。しかし、重さから解放されたカメラにおいては日常の何気ない時間の流れさえも面白い映像に変えることができるのです。30分の撮影で300秒の映像に仕上がるので6倍速といったところです。アプリで編集することで動的に倍率をかけ、さらに爽快感のある映像に仕上げることができます。
スローモーション
待機状態からの3回押しで実行。若干解像度が下がるが、100fpsでの撮影が可能で、30fpsで出力されるため約1/3.3倍速の映像となる。
スマホと接続中に行える撮影モード
スマホとペアリングすることでさらに多くの撮影モードが使用できます。
標準動画
上記の30秒に加えて、15秒、60秒と撮影時間を選択できます。
インターバル録画
短い動画を一定の間隔ごとに撮影することができます。
最短で15秒の動画を1分ごとに31本、30分にわたっての撮影
最長で30秒の動画を1日ごとに8本、7日間にわたっての撮影を行うことができます
かなり細かく値を設定できるので状況にあったインターバル動画が撮影できます。
スローモーション
15秒、30秒と録画時間を選択可能
ハイパーラプス
6倍速の動画を撮影し、編集で流動的に速度に倍率をかけることで爽快感のある映像を撮影できます。
撮影時間を30秒から30分の間で選択できます。
タイムラプス
インターバルの時間を15秒から2分、撮影時間を10分から8時間の間で選択できます。一部選択不能な組み合わせもあります。
写真
1枚標準写真を撮影。3秒から60秒の間でタイマーを設定できます。
動画や画像の品質
まずは動画の品質から。動画の下半分がInsta360 Goで撮影したものになります。
部屋の明るさは普通だと思うのですが、小ささの代償というか、お世辞にも画質がいいとは言えません。とはいえ、 SNSにシェアするような動画としては十分かなという印象。おそらくこのカメラにそれ以上の性能を求める方は少ないでしょう。
右上のiPhoneと比較して画角がかなり広いことがわかります。とりあえず前に構えておけば被写体を撮り逃すことはないでしょう。
左がスタビライザーあり、右がスタビライザーなし。さすがに180度なのでONE Xのように「振り回しても大丈夫」とはいきませんが、手振れや歩いた振動はほとんど気にならないです。
コンセプトが全然違うので、同じ土俵で比較するメリットはあまり感じませんが、Flowstateの挙動など気になるのでONE Xの映像もつけておきました(左上)。Insta360 StudioでGoと同じくらいの画角に切り抜いて比較したものです。
続いて、静止画の品質。
やはり、センサーサイズ故に暗く感じます。ディテールが潰れていますが、こちらもSNSでの共有程度なら全然問題なし。画角が広いのでシャッターを押すときに指が映らないよう注意が必要です。
AIフィルター
Insta360 Studioで編集するとAIフィルター機能を利用できます。
出力時にAI Effectsというプルダウンから2つのアルゴリズムを利用できます。基本的に明るさを自動で判定して切り替えてくれる模様。以下が未使用時と2つのアルゴリズムを比較した動画です。左下の動画については後述。
アプリについて
動画の変換に使うソフトについてですが、スマホ版、PC版を通して視点の移動や画角の変更といった処理は必要ありません。FlowStateのON/OFFや簡単なフィルター処理など、ONE Xに比べると限られた編集機能になります。難しい編集を求められないのがこのカメラのいいところなのでしょう。
VRみたいにする
撮影した動画や画像は、円周魚眼のような状態で保存され、ソフトで書きだす際に処理されます。この元の画像の視野角は180度ほどあるのでうまく編集してあげれば半球VRのような画像に仕上げることもできます。需要あるのかわかりませんが…
PCでカメラの内部ストレージにアクセスするとinspやinsvといった拡張子のファイルがあるはずです。inspが画像ファイル、insvが動画ファイルとなっており、Insta360独自のプロファイルを備えた形式となっています。この拡張子をそれぞれ.jpg、.mp4に改めることでもとの円周魚眼として編集することが可能になります。これらをCube2DMといったソフトでドームマスターとして読み込み、エクイレクタングラーに変換すればVRの画像として扱うことができます。以下、上から処理前のもの、処理後のもの、処理前をVRにマッピングしたものとなります。
ちなみに元の解像度は、動画2720×2720、写真3040×3040(ONE Xの片眼と同じ)です。動画は外側のピクセルが省略されており、完全な円周魚眼には若干足りません。処理後は動画が1920×1080、写真が2560×1440になります。
まとめ
Insta360 Goを買ったら幸せになれる人
・日常をテーマにしたタイムラプスを撮りたい方
・スナップ感覚でショートビデオを撮影したい方
・身軽に旅行やお出かけを楽しみたい方
・キティちゃんが好きな方
Insta360 Goは言わばカメラ版TWSです。体全体がファインダーで、いつでも瞬時にシャッターを切ることができます。ウェアラブルカメラと呼んで差し支えないのではないでしょうか。コロナ後の旅行を思う存分楽しみたい方は旅行のお供として非常にお勧めできます。
Insta360 Goの残念な点
・今何をやっているのかがよくわからない
操作自体は覚えてしまえば簡単なのですが、動作中に何をやっているのかがよくわかりません。ライトの点滅で見分けられるようですが、撮影中にレンズをのぞき込むわけにもいかず…
・充電ケースの蓋が硬い
TWSに例えた充電ケースですが、ふたがめちゃくちゃ固いです。AirPodsみたいに片出で開閉するのはちょっと無理そうです。
・Lightning端子のキャップがちゃちい
Lightning端子のキャップはラバー製なのですがとってつけたような感じ。失くしてしまいそうです。
・ライブビューがない
前述の通り、スマホと接続してもライブビュー機能がありません。画角が広いこともあってあまり気にはなりませんが、正確に画角を決めたいシーンには向いていないかもしれません。
以上がInsta360 Goのレビューとなります。外での撮影検証が憚れる時勢なので、限られた内容となってしまいました。面白い映像が撮影出来たらサイト上で共有したいと思います。スマートフォンに搭載される小型カメラモジュールは日々高性能化が進んでいます。同じように、超小型をコンセプトとしたカメラの未来も明るいのではないでしょうか。